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2009.10.08
浦島太郎
昔々のお話です。
ビーチで子供が騒いでいます。
何かと思い監視をしていると、どうやら亀をいじめているようです。
やいやい、亀をいじめるのは止めなさい、と声を掛けたのは村一番の賢い青年
浦島太郎でした。
子供達はなぜ亀をいじめるのがダメなのか納得できない様子でした。
「いいか、海亀ってのはこの閉塞感漂う村の海岸にはたくさんいるが、都会には生きてるのはいない。また海のない国に持って行けばとても珍しい。どういうことか分かるか?」と子供に尋ねました。
日頃から外の世界に目を向けている浦島太郎は、価値観の違いが金になることを理解していました。
簡単なWiiやDSをやって育った子供たちは訳がわからず唖然としていました。
子供の世界は、子供たちの中だけで完結しており、外部との接触を拒む村の気質のせいで想像力がいつまで経っても育ちませんでした。
「いいか、これはな、金になるんだ。この海から採れる資源、つまり亀を商品化すれば金になる。だが君達には亀を売るルートもないし商品化する知識もない。つまり君達にとってはただの亀だがオレには価値がある物なのだ」
子供達は黙ったままです。
「今から簡単なビジネスを教えてやる。これは君達の亀だがオレに譲ってほしい。無料でよこせとは言わない。君達も利益が欲しいだろ?」
浦島太郎はポケットから五十円玉を取り出しました。
「これを良く見てほしい、本当は表にあるはずの表面が裏で、裏にあるはずの裏面が表にある世にも珍しい50円玉だ。トルコという美しい国から輸入した。どうだ?珍しいだろう」
子供達は歓声をあげて簡単に騙され、亀そっちのけで50円を囲んで眺めていました。
シメシメ。
亀を手に入れた浦島太郎は亀をどう金にするか悩みに悩みました。
実は太郎自信も亀の活かし方を知りませんでした。
こういう時に役に立つのが、浦島太郎の人脈です。
普段から様々な社交場に顔を出している太郎は、多岐に渡る人脈を持っていました。
太郎は有用な人脈をどう作るかを知っていました。
それは、まず自分が相手にとっていかに有用な人材になるか。
つまりどれだけ自分が、その人にとって面白い人間になれるかということです。
太郎はその重要性を理解していました。
横浜で貿易業を営む友人に相談するため(彼とは六本木のクラブで知り合い、年に一度食事をするような仲でした)
「アラブの友達を紹介するよ、あいつが新しくオープンするレストランのオブジェに欲しがっていた。」
話がまとまり掛けたときに亀が喋り始めました。
「子供たちから助けてくれてありがとう。心から感謝してます。お礼に竜宮城へお連れします。」
こいつは売り飛ばされそうになったことに気づいてない。黙っておこう、と太郎は呟きました。
自分に不利になることは絶対口に出さない浦島太郎でした。
竜宮城に着いた太郎は、その場所の徹底的に管理されたきれいさと、合理的に考えられたデザイン、飽きさせないためのエンターテイメントに感動しました。
俺の村の建築物とは違うな。木と紙で造られた家などもう住めないなと太郎は考えました。
太郎は毎日竜宮城で遊び、美味しい物を食べ、亀に乗ってやってくる観光客を案内したり
一緒にご飯を食べて色々な国々の意見を聞き入れたり、きれいな人は口説いて当然のようにセックスをしました。
ストレスのない生活を送っている浦島太郎は、都会で疲れた人間には非常に魅力的に見えました。
竜宮城のプールで定期的に運動をする浦島太郎の体は強く引き締まっていました。
太郎は自分の置かれた竜宮城という環境、相手が何を求めてるか、自分はどういった風に相手に映るかをいつも理解しようとしていたので、魅力的な話し方や雰囲気を作るのがとても得意でした。
太郎はその生活をブログに書き、1日のPVは30万を超えました。
ある程度の金を払って、プロに翻訳を依頼し英語版のブログも始めました。
太郎は希少な情報には価値があるということを肌で知っていました。
また、世界中の誰にでも分かる言語と写真を使う意味を知っていました。
ブログのほとんどを有料化することで太郎の口座には見る見るうちに残高が増えました。
特に太郎は言葉選びのセンスが抜群でした。
語彙を増やすために、読書することを惜しみませんでした。
読書、アート、音楽、各種文化、最初はナンパのために習得しようとしましたが
芸術や文化が太郎の心を豊かにしてくれる感覚を太郎は竜宮城で知りました。
太郎は遊び人としてのスキルをとことん磨きました。
遊び慣れている事で自分に自信が付き、さらにたくさんの人を口説くようになりました。
そんなこんなで遊んでいた太郎ですが、ある日亀に帰るように諭されました。
目立ちすぎたのです。
「お土産に玉手箱をあげます。でもこれは開けてはいけません」と亀は言いました。
開けてはいけないなら、使わないなら、こんなものはいらない。と太郎は言いましたが
亀は同じ言葉を繰り返すだけでした。
まるで、クレーム処理をするサービス業の人間のようだと太郎は思いました。
亀は相手が何を求めるかを知ろうとしないので、話はどうどう巡りするだけでした。
亀はマニュアル通りの笑顔を見せるだけなので、物事は全く解決しませんでした。
本質を全く捉えていない。こいつは自分で責任を取りたくないからマニュアル通りの事しかしないんだ、と太郎は思いました。
しぶしぶ太郎はゴミを受け取りました。
亀に送り届けられて、好奇心から玉手箱を開けた太郎はお爺さんの姿になってしまいました。
生活していくためにはお金が必要です。ブログの収益で得た金は時代のインフレの影響を受けて
アルバイト3日分ほどの価値しかありませんでした。
ある日、昔の友達の外国人と話をしていた時に、太郎にいいアイディアが思い浮かびました。
太郎は彫りの深い顔で外人のような見た目だったため、自分のルックスを活かして、教会の偽牧師になろうと決めました。
日本人は教会のウェディングに憧れます。
メディアがそれを良しとするので、自分で判断せずにキリスト教徒でもないのにキリスト風の教会で結婚式を挙げたがります。
この国民の多くはテレビメディアを疑うこともせずに、情報を選別しません。
自分にとって何が必要か、何が不要か、何が大事なのかを分かっていない人はテレビメディアの言いなりになるんだなと帰ってすぐに気づきました。
太郎はそこに目を付けました。
太郎はテレビを観なかったので、メディアによって作られた価値観に全く左右される事がなく、自分で何が良くて、何が悪いかの評価と判断を下せました。
太郎は世間の目というものを気にしなかったため、他人は他人。自分は自分という価値観をストレスなく通せました。
流行り物を一切無視するという知恵が、結局は自分の幸せに繋がるということを太郎は竜宮城での生活で知りました。
ビーチで子供が騒いでいます。
何かと思い監視をしていると、どうやら亀をいじめているようです。
やいやい、亀をいじめるのは止めなさい、と声を掛けたのは村一番の賢い青年
浦島太郎でした。
子供達はなぜ亀をいじめるのがダメなのか納得できない様子でした。
「いいか、海亀ってのはこの閉塞感漂う村の海岸にはたくさんいるが、都会には生きてるのはいない。また海のない国に持って行けばとても珍しい。どういうことか分かるか?」と子供に尋ねました。
日頃から外の世界に目を向けている浦島太郎は、価値観の違いが金になることを理解していました。
簡単なWiiやDSをやって育った子供たちは訳がわからず唖然としていました。
子供の世界は、子供たちの中だけで完結しており、外部との接触を拒む村の気質のせいで想像力がいつまで経っても育ちませんでした。
「いいか、これはな、金になるんだ。この海から採れる資源、つまり亀を商品化すれば金になる。だが君達には亀を売るルートもないし商品化する知識もない。つまり君達にとってはただの亀だがオレには価値がある物なのだ」
子供達は黙ったままです。
「今から簡単なビジネスを教えてやる。これは君達の亀だがオレに譲ってほしい。無料でよこせとは言わない。君達も利益が欲しいだろ?」
浦島太郎はポケットから五十円玉を取り出しました。
「これを良く見てほしい、本当は表にあるはずの表面が裏で、裏にあるはずの裏面が表にある世にも珍しい50円玉だ。トルコという美しい国から輸入した。どうだ?珍しいだろう」
子供達は歓声をあげて簡単に騙され、亀そっちのけで50円を囲んで眺めていました。
シメシメ。
亀を手に入れた浦島太郎は亀をどう金にするか悩みに悩みました。
実は太郎自信も亀の活かし方を知りませんでした。
こういう時に役に立つのが、浦島太郎の人脈です。
普段から様々な社交場に顔を出している太郎は、多岐に渡る人脈を持っていました。
太郎は有用な人脈をどう作るかを知っていました。
それは、まず自分が相手にとっていかに有用な人材になるか。
つまりどれだけ自分が、その人にとって面白い人間になれるかということです。
太郎はその重要性を理解していました。
横浜で貿易業を営む友人に相談するため(彼とは六本木のクラブで知り合い、年に一度食事をするような仲でした)
「アラブの友達を紹介するよ、あいつが新しくオープンするレストランのオブジェに欲しがっていた。」
話がまとまり掛けたときに亀が喋り始めました。
「子供たちから助けてくれてありがとう。心から感謝してます。お礼に竜宮城へお連れします。」
こいつは売り飛ばされそうになったことに気づいてない。黙っておこう、と太郎は呟きました。
自分に不利になることは絶対口に出さない浦島太郎でした。
竜宮城に着いた太郎は、その場所の徹底的に管理されたきれいさと、合理的に考えられたデザイン、飽きさせないためのエンターテイメントに感動しました。
俺の村の建築物とは違うな。木と紙で造られた家などもう住めないなと太郎は考えました。
太郎は毎日竜宮城で遊び、美味しい物を食べ、亀に乗ってやってくる観光客を案内したり
一緒にご飯を食べて色々な国々の意見を聞き入れたり、きれいな人は口説いて当然のようにセックスをしました。
ストレスのない生活を送っている浦島太郎は、都会で疲れた人間には非常に魅力的に見えました。
竜宮城のプールで定期的に運動をする浦島太郎の体は強く引き締まっていました。
太郎は自分の置かれた竜宮城という環境、相手が何を求めてるか、自分はどういった風に相手に映るかをいつも理解しようとしていたので、魅力的な話し方や雰囲気を作るのがとても得意でした。
太郎はその生活をブログに書き、1日のPVは30万を超えました。
ある程度の金を払って、プロに翻訳を依頼し英語版のブログも始めました。
太郎は希少な情報には価値があるということを肌で知っていました。
また、世界中の誰にでも分かる言語と写真を使う意味を知っていました。
ブログのほとんどを有料化することで太郎の口座には見る見るうちに残高が増えました。
特に太郎は言葉選びのセンスが抜群でした。
語彙を増やすために、読書することを惜しみませんでした。
読書、アート、音楽、各種文化、最初はナンパのために習得しようとしましたが
芸術や文化が太郎の心を豊かにしてくれる感覚を太郎は竜宮城で知りました。
太郎は遊び人としてのスキルをとことん磨きました。
遊び慣れている事で自分に自信が付き、さらにたくさんの人を口説くようになりました。
そんなこんなで遊んでいた太郎ですが、ある日亀に帰るように諭されました。
目立ちすぎたのです。
「お土産に玉手箱をあげます。でもこれは開けてはいけません」と亀は言いました。
開けてはいけないなら、使わないなら、こんなものはいらない。と太郎は言いましたが
亀は同じ言葉を繰り返すだけでした。
まるで、クレーム処理をするサービス業の人間のようだと太郎は思いました。
亀は相手が何を求めるかを知ろうとしないので、話はどうどう巡りするだけでした。
亀はマニュアル通りの笑顔を見せるだけなので、物事は全く解決しませんでした。
本質を全く捉えていない。こいつは自分で責任を取りたくないからマニュアル通りの事しかしないんだ、と太郎は思いました。
しぶしぶ太郎はゴミを受け取りました。
亀に送り届けられて、好奇心から玉手箱を開けた太郎はお爺さんの姿になってしまいました。
生活していくためにはお金が必要です。ブログの収益で得た金は時代のインフレの影響を受けて
アルバイト3日分ほどの価値しかありませんでした。
ある日、昔の友達の外国人と話をしていた時に、太郎にいいアイディアが思い浮かびました。
太郎は彫りの深い顔で外人のような見た目だったため、自分のルックスを活かして、教会の偽牧師になろうと決めました。
日本人は教会のウェディングに憧れます。
メディアがそれを良しとするので、自分で判断せずにキリスト教徒でもないのにキリスト風の教会で結婚式を挙げたがります。
この国民の多くはテレビメディアを疑うこともせずに、情報を選別しません。
自分にとって何が必要か、何が不要か、何が大事なのかを分かっていない人はテレビメディアの言いなりになるんだなと帰ってすぐに気づきました。
太郎はそこに目を付けました。
太郎はテレビを観なかったので、メディアによって作られた価値観に全く左右される事がなく、自分で何が良くて、何が悪いかの評価と判断を下せました。
太郎は世間の目というものを気にしなかったため、他人は他人。自分は自分という価値観をストレスなく通せました。
流行り物を一切無視するという知恵が、結局は自分の幸せに繋がるということを太郎は竜宮城での生活で知りました。
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